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社会保険労務士

事業譲渡と労働者の地位

弁護士法人愛知総合法律事務所の社会保険労務士の原田聡です。
原子力事業での数千億の減損損失を出した国内大手家電企業、今後どのような舵取りをしていくのか関心がありますが、今回は、事業譲渡をした場合の従業員の雇用契約について。
事業譲渡を簡単に例をあげると、会社の支店の一部であったり、会社そのものを他の会社に移転することです。事業譲渡をする場合、譲渡会社と譲受会社との合意した内容によって、権利義務が移転するものとされていますが、では譲渡会社にいる従業員の地位も会社間で合意がされれば自動的に移動してしまうのでしょうか。民法第625条第1項には「使用者は、労働者の承諾を受けなければ、その権利を第三者に譲り渡すことができない」と規定されていることから、労働者にはそのまま会社に残ることもできるし、移転することもできるということになります。会社に残った場合は、業績悪化等による整理解雇の可能性とか考えて慎重に決断したいし、移転となれば、譲渡会社出身と譲受会社出身との間ので労働条件の格差が気になるところです。また、移転を拒否した場合、そのことを理由に会社側は解雇可能かどうかですが、労働契約法第16条には「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効にする」と規定されていますので注意が必要です。今回は簡単にご紹介しました。

2017年02月24日
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