弁護士/司法書士/社会保険労務士BLOG

社会保険労務士

「個人業務受託者の注意点~請負と労働者性~」

  味覚オンチの長谷川です。m(_ _)m(前回の記事参照)

 

さて、本日は、請負契約でも、特に、個人業務受託者(インディペンデント・コントラクター)との請負契約についてお話いたします。

個人業務受託者とは、簡単にいうと、個人請負形式で働く、個人事業主のことです。

 

請負契約と雇用契約の大きな違いの一つとしては、注文業者(使用者)から指揮命令を受けているかどうかがあります。請負契約の場合は、労働者ではないため、原則労働基準法の適用はありませんが、形としては請負契約を結んでおり、残業代等一切払っていないが、実態は、労働者性が強い。というようなケースが多々あります。

 労働者として人を雇うと、人件費が多くかかってしまうため、請負契約を活用している企業も増えていますが、もし、裁判等で、請負契約のつもりで働いていた方が、労働者として判断されると、残業代の未払い等の問題が発生し、企業にとって、かなりの金銭的負担が発生してしまう場合もあります。

 

では、どのような点に注意すれば、独立自営業者との請負契約として認められる可能性が高いかをご説明いたします。m(_ _)m

 

例えば、トラックの運送業務を行っている個人と請負契約を締結する場合の具体的な判例として、自己所有のトラックなどを持込み、運送の発注先会社の指示に従って、製品等の運送に従事している運転手が、労働基準法の労働者になるか争われた事件である横浜南労基署長(旭紙業)事件(最高裁第一小法定平8.11.28判決)があります。

 

横浜南労基署長(旭紙業)事件によると、1.業務に関する指示は、原則として運送物品、運送及び納入時刻に限られ、1回の運送業務を終えて次の運送業務の指示があるまでは、運送以外の別の仕事が指示されるということはなかった、2.勤務時間については、従業員のように始業・終業時刻が定められていたわけではなく、当日の運送業務を終えた後は、翌日の最初の運送業務の指示を受け、その荷積みを終えたならば帰宅することができ、翌日出社することなく、直接運送先に対する業務を行うこととされていた、3.報酬はトラックの積載可能量と運送距離によって定まる運賃表により出来高が支払われていた、4.トラック代はもとより、ガソリン代、修理費、高速道路料金も個人が負担していた、5.報酬の支払にあたっては、源泉徴収、社会保険、雇用保険の保険料は控除されておらず、報酬を事業所得として確定申告していた。

という点において、運送という業務の性質上当然に必要とされる運送物品、運送先及び納入時刻の指示をしていた以外は、業務の遂行に関し、特段の指揮監督を行っていたとはいえず、時間的、場所的な拘束の程度も、一般従業員と比較してはるかに緩やかであり、指揮監督の下で労務を提供していたと評価するには足りないものといわざるを得ない。として、独立自営業者として認められました。

 

請負契約を締結する際は、是非、事前に一度ご相談下さい!(長谷川)

2011年06月21日
無料電話相談受付電話番号 052-971-5270 受付時間【平日・土日】9:30〜17:30
※東海三県(愛知・岐阜・三重)および浜松周辺限定