労働問題Q&A

労働災害

Question

父が会社で部長に昇進したのですが、重圧からうつ病になり、自殺をしました。家庭では何のトラブルもなく、自殺の原因は仕事だと思います。自殺であっても、労災保険を受けることができますでしょうか。

Answer

一般的には、自殺の場合は労災保険給付の支給はありません。しかし、例外的に、業務上の心理的負荷による精神障害を原因とする場合は、業務上の死亡として労災保険が認められる場合があります。業務上と判断するための要件として、①対象疾病に該当する精神障害を発病していること、②対象疾病の発病前おおむね6ヶ月間に、客観的に当該精神障害を発病させるおそれのある業務による強い心理的負荷が認められること。③業務以外の心理的負荷および固体側要因により当該精神障害を発病したとは認められないこと、の3つの点をすべて満たしておくことが必要です。

Question

海外に事務所を開くことになり、職員を派遣する予定です。職員の安全には最大の注意を払っていますが、万が一にも海外出張で職員に事故があった場合に労災保険は適用されるのでしょうか。

Answer

まず職員の海外派遣にあたり勤務の実態を確認する必要がありますが、「海外出張」であれば労災の適用があり、「海外派遣」であれば労災の適用は原則ありません。海外出張か海外派遣かは、海外業務の指揮命令の主体がどうなっているか等実態に即して判断を行い、海外勤務期間の長さであるとか、会社での呼び方等では判断しません。「海外派遣」であれば、「海外出張」の場合と違って労災保険の適用が原則ありませんが、海外派遣者の「特別加入」の手続きをしておけば、万が一、職員が海外派遣中に業務災害が発生しても労災保険の給付を受けることができます。

Question

労働災害とは何ですか?

Answer

労働災害は、「業務起因性」と「業務遂行性」が認められる労働者の負傷、疾病、障害又は死亡のことを指します。労働災害の認定がされると、労災保険の補償の対象となります。

Question

補償の内容はどのようなものですか?

Answer

病気になったときの通院費用、休業中の賃金の6割の補償、後遺障害に対する補償、遺族に対する補償などがあります。

Question

使用者が労災保険の保険料を納めていない場合には、補償は受けられないのですか?

Answer

使用者が保険料を納めていなくても、保険給付はなされます。

Question

保険の給付は誰に対して請求すればいいですか?

Answer

保険給付は、労働基準監督署に対して請求します。労基署の署長の不支給決定に不服がある場合には、労働局内の機関に審査請求を行います。

Question

通勤中の災害は労災保険の補償対象となりますか?

Answer

通勤災害は、使用者の管理下にあるとはいえないですが、特別に補償の対象となっています。ただし、通勤経路を逸脱した場合の災害は補償の対象外です。

Question

労働災害が起きたとき、労災保険以外に、使用者に対して損害賠償請求をすることはできないのですか?

Answer

労災保険による給付がされた場合でも、これを上回る損害が生じている場合には、その上回った部分について、使用者に対して民法上の損害賠償責任を追及することはできます。
 使用者には、労働者が安全に労働できるように注意すべき義務(安全配慮義務といいます。労働契約法5条)が課されていますので、これに違反した場合には、債務不履行を理由として損害賠償請求ができます。もっとも、安全配慮義務と一言で言っても、具体的にどんな注意をすべきであったかは、各事例によって異なります。そして、注意義務の具体的内容は、請求する側で特定しなければなりません。具体的事案で安全配慮義務違反が問えるかどうかは争いになる場合が多いので、弁護士に相談されることをおすすめします。

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