労働問題Q&A

労働時間・休憩・休日・休暇

Question

印刷会社で週4日アルバイトをしていて、5年目になります。今度ボランティア活動で2日ほど会社を休むことにしたのですが、アルバイトなので有給休暇を取得できませんよね?

Answer

アルバイトやパートタイマーであっても、正社員と同じ条件で有給休暇は発生します。有給休暇は入社6ヶ月の時点で発生しています。アルバイトを始めて5年目ということは当然有給休暇を取得することができますが、ただ有給は2年で時効になりますので、発生した有給日数分すべてを消化することができません。また、アルバイトの場合、正社員(フルタイム)よりも労働日数等少ないので、取得できる有給休暇の日数も正社員よりは少なくなります。現在有給休暇が何日残っているのかをしっかりと把握しておかないと、取れたはずの有給休暇も時効にかかっていってしまいますよ。

Question

法定労働時間とは何ですか。

Answer

法定労働時間とは,1週および1日の最長労働時間の設定のことをいいます。1日の法定労働時間は8時間,1週間の法定労働時間は40時間です。実際の労働時間が法定労働時間をこえる場合には,時間外労働時間(Q10をご覧ください)の要件を満たさないかぎり,使用者に対し罰則の適用があり,割増賃金支払義務が生じます。

Question

時間外労働・休日労働とは何ですか。

Answer

時間外労働とは,1日または1週の法定労働時間をこえる労働のことをいいます。休日労働とは,法定休日(毎週1回の休日)における労働のことをいいます。使用者は,事業場における労使の時間外・休日労働協定(いわゆる36協定)を締結し,それを行政官庁に届け出た場合に限り,その協定の定めるところにより労働時間を延長し,または休日に労働させることができるのです。反対に,36協定なしに,あるいは36協定の定める限度をこえて時間外・休日労働をさせることは,8時間労働制・週休制の基準に違反する違法行為となります。

Question

会社には36協定があるのですが,私には病気の子どもがいるので,時間外労働や休日労働はできません。断ることはできるのでしょうか。

Answer

労働協約や就業規則において業務の必要があるときは,36協定の範囲内で時間外・休日労働を命じうる旨が明確に定められているかぎりは,個別の同意がなくとも,労働契約上36協定の枠内でその命令に従う義務があると考えられます。もっとも時間外・休日労働を命ずる業務上の必要性が実質的に認められない場合は,命令は有効要件を欠くことになりますし,労働者に時間外・休日労働を行えないようなやむを得ない理由があるときには,命令は権利濫用になるといえます。

Question

時間外・休日・深夜労働には割増賃金を支払わなければならないのですか。

Answer

当然,割増賃金は支払わなければなりません(労基法37条,119条)。強行規定ですから,仮に社員と合意のうえであっても,割増賃金の支払いを免れることはできません。
具体的な割増率は,(1)時間外労働の場合,賃金の2割5分以上,(2)深夜労働の場合,2割5分以上,(3)休日労働の場合,3割5分以上,(4)時間外労働+深夜労働の場合,5割以上((1)+(2)),(5)休日労働+深夜労働の場合,6割以上((2)+(3))となっています。
  仮に36協定を結んでいない違法な労働をさせている場合であっても,当然割増賃金の支払義務はあります。
 なお,法内超勤(たとえば就業規則で1日7時間の労働時間が定められていて,1時間だけ残業する場合や週休2日と定められていて,そのうち1日だけ休日出勤する場合)の場合には,割増賃金の支払義務はありません。

Question

裁量労働制とは何ですか。

Answer

裁量労働制とは,一定の専門的・裁量的業務に従事する労働者について労使協定において実際の労働時間数にかかわらず一定の労働時間数だけ労働したものとみなすものです。専門業務型,企画業務型の裁量労働制があります。対象労働者については,実際の労働時間数に関係なく,協定で定めたものとみなされます。もっとも休憩,休日,時間外・休日労働,深夜業の規制は依然として及びますので,みなし労働時間数が法定労働時間をこえる場合には,36協定の締結と割増賃金の支払が必要となることには注意が必要です。

Question

私は,管理職で残業代が支払われていません。しかし管理職とは名ばかりです。やはり残業代を請求することはできないのでしょうか。

Answer

労基法上の管理・監督者に該当する場合,労基法に基づく法定残業,休日労働及びそれに関する規定は適用されません。管理・監督者とは,労働条件の決定その他労務管理について,経営者と一体的立場にある者をいうとされ,名称にとらわれず,実態に即して判断されます。具体的には,(1)職務の内容,権限はどのようなものか,(2)出社・退社等について自由度はあるか,(3)その地位にふさわしい処遇が認められているか,などを考慮して判断されることになります。

Question

年次有給休暇とは何ですか。

Answer

年次有給休暇は,労働者(一部パートタイマーを除く)が6か月間継続勤務し,全労働日の8割以上出勤するという要件を充足することによって,法律上当然発生する権利のことをいいます。採用後6か月に達した日の翌日に10労働日の年休権が発生し,そこから2年間は6か月をこえる勤務年数1年につき1労働日が加算されます。勤続2年6か月に達した日以降は,勤続1年ごとに2労働日が加算されます。最大日数は20日となります。パートタイム労働者でも所定労働日数が週4日または週30時間以 上の者は,通常の労働者と同じ日数の年休を取得できます。

Question

年休を取りたいのですが,会社側はその日に年休を取らせることはできないと言っています。

Answer

会社にとって「事業の正常な運営を妨げる場合」には,このような措置も可能です。会社のこのような権利のことを時季変更権といいます。
年休は労働者の権利ですから,会社としても代替要員の確保に努める必要があります。恒常的な人員不足から,代替要員を確保することが常に困難であるといった状況にある場合には,会社側の時季変更権の行使を正当化できない場合もあります。

Question

今年度,有給休暇を消化することができませんでした。このような場合,来年度の年休に加えることはできるのですか。

Answer

年休の繰越は認められるのが一般的ですが,その場合でも,2年の時効があります。

Question

年休の買上げをすることは認められますか。

Answer

年休取得を認めないことは年休を保障したほうの趣旨に反しますが,未消化の年休(2年の時効にかかってしまったもの)が生じてしまった場合,その日数に応じて手当を支給することは違法ではありません。

Question

年休を取得したところ,皆勤手当は出せないと言われてしまいました。年休は権利なのに納得できません。

Answer

判例は,年休取得を一般的に抑制する趣旨での不利益取扱いであったり,年休取得の結果生じる不利益の大きさから年休取得を事実上抑止する効果を持つ場合でなければ,不利益措置も無効とはならないとしています。
  無効とされた措置としては,年休取得日を昇給上の要件である出勤率の算定にあたり欠勤日として扱うこと,賞与の算出において年休取得日を欠勤扱いとすることなどがあります。
  あなたの場合,皆勤手当の額にもよりますが,無効とまではいえない可能性が高いと考えられます。

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