弁護士/司法書士/社会保険労務士BLOG

2018年8月

労働者派遣事業の事務所面積

平成27年労働者派遣法改正法が施行されて、来月9月30日で3年経過となります。
今日は、弁護士法人愛知総合法律事務所の社会保険労務士の原田聡です。
さて、今回は「労働者派遣事業の事務所面積」について。
改正により、労働者派遣事業に「特定」と「一般」の区別がなくなり、全ての派遣事業が許可制になります。特定労働者派遣事業の事業者は、来月9月29日までに労働者派遣事業への切り替えの手続きをしないと派遣事業ができません。
届出制の特定労働者派遣事業から許可制の労働者派遣事業への切り替えの手続きには、労働者派遣事業許可申請書等作成して労働局へ申請しますが、許可を受けるためには、資産要件等いろいろ条件があります。
その内の一つに派遣事務所の面積、20㎡以上が必要とされています。マンションでも条件がクリアできていればよく、一室の全てが事務所であれば、その部屋の大きさで考えていくことになります。
ところが、マンションでも住居と事務所を併用する事業者も見えます。その場合は少し複雑で、例えば、キッチン部分は住居用の部分に該当するので、住居場所からキッチンへ行くにあたって、事務所部分が見えない状態であるかをチェックしていかないといけません。キッチンとつながっているリビングが事務所の場合、衝立等で事務所と住居を区切る必要性も出てきて、レイアウトをどうするか大変になります。
愛知県労働局の場合、8月末現在での受付の場合、更新されるのは年明けになっているみたいです。9月29日までに手続きをとっていれば、更新時期までは今の状態で派遣事業ができます。
いよいよ大詰めの労働者派遣事業への切り替え手続きです。

ブログ執筆者:社会保険労務士 原田聡
2018年08月29日

解雇予告手当と解雇除外認定

会社側からの働きかけによって、従業員との労働契約を解除することを「解雇」といいますが、解雇の種類には、大きく分けると、懲戒解雇、整理解雇、普通解雇の3つがあります。ドラマでありがちな会社とのトラブルの一場面、「お前はクビだ」は解雇であるし、「こんな会社、辞めてやる」は解雇ではなく、自己都合退職ということになります。
今日は、弁護士法人愛知総合法律事務所の社会保険労務士の原田聡です。
さて、今回は「普通解雇と解雇予告除外認定」について。
普通解雇とは、懲戒解雇や整理解雇以外の解雇のことで、能力不足や勤務成績、勤務態度などを理由とした労働契約の解除をいいますが、会社はいつでも普通解雇をできるわけではなく、普通解雇するにもルールがあります。ルールの一つである「解雇予告」。
労働基準法第20条第1項をみると、「使用者は、労働者を解雇しようとする場合において、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合においては、この限りでない」を規定されています。
例えば、会社が従業員を即日解雇するのであれば、従業員に対して30日分以上の平均賃金の支払いが必要ということで、この支払いを「解雇予告手当」といいます。
しかし、即日解雇の場合、必ず解雇予告手当が必要かというとそうではなく、但書きで解雇予告手当が必要でない場合が規定されていて、労働者の責に帰すべき理由による解雇であれば解雇予告手当は不要となっています。
解雇予告手当の支払をすることなく即日解雇する手続きとしては、労働基準監督署に対して、「解雇予告除外認定」の承認を受ける必要があります。
解雇予告除外認定ですが、労働基準監督署からの承認を受けたからといって、解雇自体の有効性が認められたわけではないのでご注意ください。除外認定の承認を受けて解雇しても、従業員から不当解雇として訴訟されることもあります。
解雇とは、いわば会社の最終手段であるので、従業員への再教育、職務の変更、人事異動で改善を試み、改善が難しいようであれば退職勧奨により自己都合退職を促し、それでもうまくいかなかった場合に「解雇」という流れになることが多いと思います。
解雇を言い渡された従業員の方も、解雇は不当解雇ではないのか、解雇予告手当の支払等確認しておきましょう。
解雇等労務問題でご相談にある方、弁護士法人愛知総合法律事務所までお気軽にご連絡ください。


ブログ執筆者:社会保険労務士 原田聡

2018年08月24日

派遣労働

出産で退職される女性正社員・パート労働者の数は年間20万人で、それによる経済的損失は1兆2000億円になるとの民間シンクタンク試算の記事。平成29年度版の名古屋市の財政概要版によると、平成28年度の名古屋市の決算規模は、歳入が1兆720億円だから、それよりも多いってことか。今日は、弁護士法人愛知総合法律事務所の社会保険労務士の原田聡です。
出産しても安心して仕事が続けられる環境が、昨今の人手不足解消の一つになりますが、
育児と仕事の両立の難しさであったり、保活(子供を入園させる保育園探しの活動))がうまくいかなかったり、理由はいろいろあるとはいえ、出産退職をされる女性労働者は多いわけです。会社側としても、育児をする女性労働者のために、勤務時間を調整したり、また、制度を作るだけでなく、育児を支援する会社内の雰囲気作りなどやれることはありますよね。
さて、人手不足解消のための手段の一つとして「派遣労働」の活用。
現在、特定労働者派遣事業は廃止され、労働者派遣事業は許可制に統一されています。特定労働者派遣事業については、経過措置により、平成30年9月29日まで事業継続できる状態ですが、今回はこの「派遣労働」について。
派遣労働者は、派遣元で雇用契約を結び、派遣先で労働をするわけですが、仕事でケガをしたり、派遣先でパワハラ行為を受けることもあるかもしれません。派遣先で労働する派遣労働者も派遣先の従業員と同じように労災保険の適用を受けることができますが、派遣労働者が労災保険を使うとき、派遣労働者は派遣元の労災保険を使うことになります。仕事中でのケガ等であれば、健康保険ではなく労災保険を使うことになりますので、派遣労働者は派遣元に連絡をして、派遣元で労災の手続きをしてもらうことになります。労災事故で死亡・休業発生のとき、労働基準監督署に対して、労働者死傷病報告を提出しますが、これは、派遣元だけでなく、派遣先も提出する必要があります。
また、派遣労働者が、派遣先でパワハラを受けている場合などの苦情については、まずは派遣元の責任者に連絡をして、派遣先の責任者と連携して対処してもらうことから始めればいいと思います。
何か困りごとがございましたら、弁護士法人愛知総合法律事務所までご相談ください。

ブログ執筆者:社会保険労務士 原田聡

2018年08月22日

障害者雇用率制度

中央省庁による障害者雇用者数の水増しの記事。今日は、弁護士法人愛知総合法律事務所の社会保険労務士の原田聡です。
さて、今回は「障害者雇用率制度」について。
障害者の雇用の確保を目的に、事業主には、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務があって、平成30年4月1日からの法定雇用率は、民間企業だと2.2%、国・地方公共団体等だと2.5%と決められています。
現在対象となる事業主の範囲は、従業員数が45.5人以上の事業主ですが、この法定雇用率を下回ってしまうと、障害者雇用納付金制度というものがあって、法定雇用障害者数に不足している障害者数の人数により、一人あたり月額5万円(一定規模だと平成32年3末までは4万円)の障害者雇用納付金を納付する必要があります。
また、民間企業の場合、場合によっては、企業名を公表できるようになっていて、平成29年度は公表された企業はなかったものの、過去には公表されています。
国等についても、障害者雇用について適正実施の勧告はできるとなっていて、平成29年度については、一定の改善が見られ、勧告を行う機関はないと厚生労働省よりプレスリリースが出されていたところ・・・
そもそも、国等の機関は、民間企業の見本となるべく、障害者の法定雇用率も民間の2.2%より高い2.5%になるいるのかなと思っていましたが、実態は「水増し」。しかも報道によれば42年間ずっと。
よく行く公共職業安定所では、障害者雇用について熱心に取り組まれていて、健常者の方もそうでない方もみんなが何かしらの特技でもって活躍できる、そんな日本であってほしいなって思っていましたが、今回の事件、とても残念です。


ブログ執筆者:社会保険労務士 原田聡

2018年08月17日

休業補償給付と傷病手当金

暑い日が続く名古屋ですが、ここ最近見かける熱中症での死亡事故。今日は、弁護士法人愛知総合法律事務所の社会保険労務士の原田聡です。さて、今回は、「休業補償給付と傷病手当金」について。
多くの人は、労働によって給料をもらい、それをもとに日々の生活を営んでいますが、もしも、病気やケガ等により、労働することができなくなり、給料をもらうことができなくなった場合、その間の生活はどうなるのでしょうか。
そのような場合、支給要件を満たせば、労災保険から「休業補償給付」、健康保険から「傷病手当金」を受給することで、その間の給料を補償してもらうことができます。休業補償給付・傷病手当金のどちらも賃金の保障ということでは役割は同じですが、労災保険の「休業補償給付」は、業務中や通勤中でのケガや病気に対して支給されるのに対して、健康保険の「傷病手当金」は業務外でのケガや病気に対して支給されるものです。
労災保険の「休業補償給付」を受給するためには
①業務災害・通勤災害により療養していること
②療養のため労働できないこと
③労働できないため賃金を受けていないこと
の3つの条件をすべて満たす必要があります。
また、健康保険の「傷病手当金」を受給するためには、
①業務外でのケガや病気の療養のための休業であること。
②それまでの仕事に就くことができないこと
③連続3日以上休んでいること
④休業した期間について給料の支払いがないこと
の4つの条件をすべて満たす必要があります。
なお、傷病手当金ですが、退職後であっても、一定の条件を満たせば、健康保険の資格喪失後であっても受給することは可能です。また、退職後に健康保険の任意継続被保険者になった方の場合は、任意継続被保険者期間中での病気・ケガについての傷病手当金の支給はありませんのでご注意ください。
労災の「休業補償給付」と健康保険の「傷病手当金」についてのその他の違いといえば、労災の「休業補償給付」が支給は、休業補償の支給要件に該当している限り受給することができるのに対して、健康保険の「傷病手当金」は、支給が開始された日から1年6ヶ月が限度です。
また、労災の「休業補償給付」と健康保険の「傷病手当金」の支給要件のいずれも該当している場合は、労災保険の「休業補償給付」が優先され、二重に受給することはできません。ただし、休業補償給付の額が傷病手当金の額より低いときには、その差額が健康保険より支給されます。
労働問題や労務管理、手続き等でご相談のある方、愛知総合法律事務所までご相談ください。

ブログ執筆者:社会保険労務士 原田聡

2018年08月06日
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